出向中のある日、年上の同僚が押しかけてきて…

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泥酔までは行ってなかったのですが、酒を飲んでなければ有り得なかったと思いますので、まけといて下さい。

では行きます。

およそ二十年前。

入社一年目の私は修行的意味合いで地方営業所に行かされました。

必ずしも全員がそういう道を通るわけではありませんでしたので、早い話が貧乏籤です。

その営業所は小さい建物ながら一軒を丸ごと借り受けており、三階には三畳ほどに仕切られたスペースが二つありました。

これが「寮」でして、この一つが私のネグラとなったのです。

このレベルが当たり前の時代………だったわけではありません。

バブル前とはいっても、学生でさえもっと普通のアパートに住んでいる方が多く、これほど劣悪な福利厚生には友人たちも驚いていました。

だからといって会社方針に逆らってまで、全額自腹で部屋を借りるのは経済的に厳しいのが現実でした。

いくつもの大都市に営業所を出していたとはいえ、個人商店の延長レベルの会社でしたので、社員=丁稚という感覚が色濃く残っていたのでしょう。

私の二年前にこの待遇を受けた新人は、ある日その部屋に退職願だけを残して帰省してしまったという逸話もありました。

広さや設備という問題もさることながら、仕事場に住むとなればプライベートとの線引きなど無いも同然。

精神的には実に辛い生活です。

例えば仕事が片付き

「お先に失礼します」

と三階に上がっても、雑用・力仕事等で下に呼び戻されることもしばしばです。

あるいは

「飲みに行くぞ」

と呼び付けられることもあります。

先輩が気を使って誘ってくれているのは分かりますが、一人でのんびりしたい時には正直なところ有難迷惑。

しかも月日がたち取引先とのやり取りをするようになる頃には、その電話で呼ばれるようになりキリがありません。

出歩いてしまえば良いのですが安月給でそれは続きません。

辛さの理由は他にもありました。

地元には付き合っていた娘がいましたが、交通費を考えると休みごとに帰省できる筈もありません。

携帯電話はまだ一般人が所有する物ではない頃です。

私用電話も少々のことなら目を瞑ってもらえるにせよ、頻繁に長電話はできませんから、もっぱら公衆電話を使いました。

あちらも周囲に誰かいるかもしれないところへ掛けるのは抵抗があったようです。

こうなると彼女との関係もかなり危うくなります。

果たして本当に四月には戻れるのか、私は常に苛々していました。

状況説明が長くなりましたがそろそろ本題です。

期限である年度末まであとしばらくとなった二月の週末の夜、十一時頃だったかと思います。

とっくに全員退社し、私は応接室でテレビを眺め時間を潰していました。

そこに表からインターホンが鳴りました。

こんな時刻のこと、知らん顔を決め込んでいても構わないところですが、寝ていたわけでもないので何気なく応答しました。

「こんばんは、Kです。差し入れ持ってきたから開けて」

経理のKさんの声でした。

はあ?と思いながらも玄関に回り、シャッターを上げました。

「ごくろうさま。はい、これ差し入れね。一緒に飲もうよ」

顔が赤いし酒の匂いもして、いかにも飲んでいましたという様子。

手にぶら提げた袋にはビールやツマミが入っているようです。

さっさと中に入ったKさんは戸惑い気味の私など気にもせずそのまま二階の応接室に上がって行きました。

玄関の戸締まりをし直してから後を追う私。

Kさんはすでにテーブルの上に差し入れを広げてミニ宴会の準備です。

「あのう…」

「はい、座って。飲も飲も」

「どうしたんですか?Kさんって飲むんですか?」

「うん、飲むわよ。あんまり会社の人とは行かないだけ」

「へえ、そうなんですか」

「さっきまで友達と飲んでたんだけどね。ちょっとA君の様子が気になってたんで酔った勢いで来てみたの」

「は?」

「ずいぶん苛々してるみたいだからね、この頃」

「え…」

「この中で生活するなんてストレス溜まるわよね。もうすぐ帰れるわよ。あとちょっとの辛抱よ」

見る人は見ているものなのですね。

Kさんは三十路ちょっと手前。

独身でした。

この営業所では谷間の年齢。

大ベテランのお局様、入社二、三年目の若手女子のどちらとも微妙に年齢差があってツルみにくい立場のようでした。

もともと控え目な性格のようで、孤立しているわけではないにせよ社内で馬鹿笑いしたり騒いだりすることのない女性でした。

しかしルックスが悪いということではありません。

スレンダーでクールな眼鏡美人というタイプ。

細面に眼鏡ですから第一印象はキツそうという感じがしますが、決してそうではありませんでした。

私が意識しないでいたのは年齢によるものでした。

それまで付き合ったのは同い年か年下だけだった私にとっては同年代の方が気になる存在であり、Kさんはそこからちょっと外れたところにいたわけです。

流されるまま私はKさんと飲み始めました。

普段仕事以外の話をしたことはなかった筈でしたが、こうしていると決して暗い人ではありません。

酒の力もあるにせよ明るく良く喋りました。

眼鏡を外した時に見える素顔も綺麗です。

ポロッとそんなことを言うと、照れながらも満更でもない態度。

「そういうことは飲んでない時に言ってくれなきゃね。A君、周りに気を使い過ぎだよ。もうそろそろ一年になるんだから、遠慮してちゃだめよ」

最初は向かい合って飲んでいたのに、何度か部屋を出入りするうちいつのまにか並んで座っていました。

隣から私を覗く表情がちょっと色っぽくてドキッとしたり、わずかに手が触れてドキッとしたり、ドキッとしっぱなしでした。

下ネタを振る度胸はないものの、適度のアルコールで循環が良くなって来た血液は下半身に集まり気味。

Kさんに悟られないように姿勢を変えてみたり足を組んでみたりしていました。

最初のうちは、いつどうやって帰るのか私も気にしていたのですが、もうそんなことはすっかり忘れていました。

「ふああ…ちょっと眠たくなっちゃた…」

Kさんが私の肩にもたれながらそう言ったのはもう午前一時近かったと思います。

「どうします?タクシー呼びましょうか?」

「いいよ…ちょっとこのまま休ませて」

「気分悪いんですか?」

「ううん。眠いだけよ、大丈夫」

勝手にソファーに転がってて下さい、というわけにも行きません。

「上で寝ますか?ここよりは良いかもしれませんから」

三階の私の隣は空き部屋で定住者はいませんでしたが、終電を逃したとか翌朝早いなどの場合に非公式に泊れる仮眠室になっていました。

もちろん女性が泊ることを想定してはいなかったでしょうが。

「そうさせてくれる?ここよりそっちの方がいいかな」

と立ち上がるKさんはちょっと足取りが危ない感じでした。

私が手を貸して支えながら階段を上りました。

仮眠室のベッドに座らせましたがKさんは私の手を握ったままでした。

「ええっと、何か必要なものってありますか?」

「ううん、べつにないわ。でもこんな時間の会社って怖いわね」

「慣れちゃいましたよ。学校とか病院だったら怖いかもしれないけど」

「一緒にいてくれないかな?ここで一人になるとちょっと怖い」

「大丈夫ですよ、どうせ隣にいるんですから」

「隣もここも同じようなもんじゃない?ここにいてよ」

「でも…」

私の戸惑いを無視するように、Kさんは私に体をぶつけて来ました。

反射的に抱き止めた私の唇に柔らかい感触が押し付けられました。

「鈍いなあ。それとも鈍いふり?」

「Kさん酔ってますよ。ダメですよ、からかっちゃ」

唇を離す押し付けるを繰り返す合間にKさんが囁きます。

「気にしなくていいわよ。本気で言ってるんじゃないから。あ、本気じゃないって言うのは、先のことを気にしないでいいよ、っていう意味ね。」

「最近のA君が可哀相で慰めてあげたいな、って。それで押しかけて来たんだ。こうなってもいいかなって」

腕の中のKさんの肉体の感触と、酒の匂いに混じる化粧品の香りが嗅覚を刺激します。

私も夢中でKさんの唇を吸い舌をこじ入れていました。

そのままベッドに倒れ込みより激しいキスをしながらブラウス越しに胸に触れます。

思わず力が入り、

「あっ…」

と声を上げるKさんに、私はハッとしました。

「うん、大丈夫よ。もう少し優しくしてくれた方が嬉しいけど」

「すみません…」

「あやまることないわよ。ちょっと待ってね…」

ニコッと微笑んだKさんはまず眼鏡を外し、そして自らブラウスのボタンに手をかけながら私にも服を脱ぐように命じました。

もうこうなれば躊躇うことなく裸になる私。

恥ずかし気な表情を浮かべながらも順々に脱ぐKさん。

思っていた以上に色白なKさんの体は、スレンダーながら出るべき所・くびれるべき所が綺麗な曲線を描いています。

「ごめんね、オバサンで」

「いいえ、すごく綺麗です」

「A君の好きなようにして」

Kさんの言葉に抱き合ってもう一度キスから。

手では意外にボリュームのある乳房を揉みしだきました。

弾力も張りも失われていない肌が艶めかしく反応します。

「あ…あ…あ…」

と短く小さい喘ぎを上げるKさんの姿に興奮した私は、そのまま手を下に伸ばしました。

掻き分けるまでもない薄目のアンダーヘアに縁取られたKさんの秘所はたっぷりと潤っていました。

それに勇気づけられ指での愛撫。

「あ…いいわ…わたしにも触わらせて」

痛いほど勃起していた私の分身をKさんの手が優しく包みました。

お互いの手で刺激し合いながら昂ぶって行きます。

Kさんの顔はかつて見たこともない艶っぽい、というよりはエロそのものの表情です。

興奮しきってしまった私は一刻も早く交わりたいばかりでした。

「Kさん…我慢できませんよ…いいですか」

「うん、来て…来てちょうだい」

ゴムを着けていないことなどに配慮もせず、膣口を探り当て挿入。

入り切るか切らぬかのうちに、Kさんの体温を直接感じる部分を物凄い快感が襲いました。

辛抱しようもなくあえなく発射してしまった私。

「あ…うううっ…」

私の漏らす声と、膣内での感覚でそれを察知したKさんは下からギュッと私に抱き着き耳元で囁いてくれました。

「大丈夫よ。今日は安全だから…気持ち良くて我慢できなかった?」

「ごめん、こんなに早くないんだけど…」

「いいのよ。嬉しいな、感じてくれたんだ。でもまたすぐ元気になれるよね?」

まだ入ったままの分身は、果てた後も硬度が落ちていませんでした。

「こうやってるのも好き。ちょっと動いてくれる?」

Kさんのリクエストでゆっくり腰を動かしているうちに私はすぐに最初以上の硬さを取り戻していました。

「ほら…もうこんなに…」

「そりゃあ…Kさんが素敵だから」

「お世辞なんてやめて…」

「本当ですよ。だからすぐに元気なっちゃったんです」

「ありがとう。ね、もっと動いてくれる?」

求められて私は動き始めました。

ゆっくりと大きく出し入れを繰り返したり、腰を回すように使ったり、小刻みに早く動いたり。若さに任せた筋肉頼りの攻撃でした。

しかしKさんにとってはそれが新鮮だったのかもしれません。

私の背中にしっかりと腕を回して喘ぎます。

「あ…あん…あん…上手よ…感じる…いいわ…」

「俺もすごくいいです…Kさん…」

「一緒にいっぱい気持ちよくなろうね」

「はい…これでいいですか?」

濡れ方も締まり方も良いKさんの中で、二度目といえど快感は急ピッチで押し寄せて来ました。

私だけ終わるわけには行かないと下らない意地もありました。

気を紛らわそうと腰の動きを緩めますが、

「あ、いやあ…やめないで…もっと…ね、もっと…」

と下から腰を突き上げて来ます。

Kさんもイキかけているんだ、と自信が湧きました。

「どう?感じてくれてるんですか?」

「うん…A君…すごくいい…もっと動いて」

「でも…動いたらイッちゃいそうで…ちょっと休んでいいですか?」

「いや…いや…あたしもイキそうなのよ、いっしょに…ね」

その言葉にやせ我慢も限界です。

大きく激しく突き入れるとKさんは私にしがみ付き絶叫しました。

「ああああああ…いくいくいく…ああ」

包むように蠕動する膣内に私は二度目を注ぎ込みました。

分身が反りあがり射精するたびに、Kさんも体を震わせます。

絞り取るような微妙な締め付けがやがて緩み、ガクンと力が抜けました。

繋がったままで感触を楽しんでいたいのですが私も力が入りません。

私の体重がかからないように抜いて体をずらします。

Kさんの内部から注ぎ込まれたばかりの物が垂れて来る光景がなんともエロティックでした。

私は裸のまま流し場に走り、タオルを何本も濡らして絞りました。

風呂もシャワーもない部屋での後始末は惨めったらしいものです。

まだグッタリしているKさんの、特に二人が結合していた部分をおしぼりで丹念に拭いました。

「A君、優しいね…とっても良かったわ」

「俺もです。ありがとう」

「うん…ちょっと疲れたね…それにちょっと寒いかな」

夢中で抱き合っている間は気にも止めていませんでしたが、なにも暖房を付けていなかったのです。

さすがに熱気も引いて冷気が体を刺します。

石油ストーブに火を付けましたが部屋自体簡単には暖まりませんから、二人で布団に包まって人肌で暖め合いました。

そんなことをしていれば当然ながらもよおしてしまいます。

ごく自然に再開。

外が明るくなるまで、やっては休みの繰り返し。

私は空っぽになるまで何度もKさんの中に出しました。

Kさんも私に劣らぬだけイッてくれました。

その小休止ごとにおしぼりを用意するのが少々面倒であり、艶消しではありましたけれど。

Kさんは年下男を喰うのが趣味というわけではないようでした。

男関係でなにかあったとかなかったとか、そんなことをチラッと漏らはしましたが、細かいことは上手くはぐらかされました。

「お酒の勢いでしちゃったけど、今日だけのことって割り切れるよね?これからは今まで通りの同僚としてだけの関係よ」

と年上らしい威厳で釘を刺して、Kさんは帰って行きました。

私はまだ寒い中、窓をに全開して社内に残っていそうな淫媚な空気を入れ替えたり、汚したシーツや毛布を洗ったりと、忙しい日曜を過ごしたのです。

翌週から事務所内で私に接するKさんの態度はそれまでと変わることはありませんでした。

それでも眼が合う一瞬に優しげな表情が浮かんでいたような気がします。

もう一度だけでもお願いしたい欲望は正直ありました。

しかしKさんの大人の態度にそれを口にすることが出来なかった私は、もっぱらその記憶を頼りについつい自慰にふけったりしたものです。

当初の約束通り、私は四月から地元に戻ることになり、この3Fを引き払いました。

Kさんはそれから一年たたないうちに結婚退職されましたので、出張で出向いても会うことはありませんでした。

その後、私も転職。

あの3F寮がいつまで続いたのか、そして他にもあそこで何かした社員がいたのかは分からないままです。

昔話ですので脳内で美化されている点はありますがご勘弁を。

お付き合いいただき有難うございました。

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